裏銀座コースを登山する人が利用するブナ立尾根。その登山口を外れた先に白く大きな滝は常に目にはいっていました。この滝を間近で見てこようというのが今回の目的です。
七倉ダムの入口
葛温泉を過ぎ、沢に掛かる橋を越えた先のカーブを曲がった先に七倉ダムへの分岐道があります。乗用車であれば、そのままダム堤体を横切り、底部まで降りることができます。特に規制等もありません。
この写真は、道路が最初にダム堤体に入る部分。駐車スペースがあります。ここに車を停めて、放水路の脇に設置された階段で底部と天端に移動しました。
七倉ダムの堤体下部から
堤体の真ん中の高さにある駐車スペースに車を置いて、階段を125段降ります。基部は野球のグラウンドが取れるくらい広くて平らです。階段を登って駐車スペースに戻るのに10分かかりました。
2017年の北アルプス国際芸術祭ではここに舞台を設置して、おおたか静流さんのコンサートが行われました。以下にYouTube動画をリンクしましたので、ぜひご覧ください。
七倉ダムに特設舞台を設置してのコンサート
【北アルプス国際芸術祭】光影 Light & Shadow Concert Sizzle Ohtaka・Takayuki Fujimoto
2017年
七倉ダム天端から
七倉ダムの天端(ダム用語でテンバと読みます)は放水路脇の階段を利用して上ることができます。所要時間の目安ですが、中段の駐車スペースから天端までの登りは、 345段で約9分です。下りは6分です。そこそこ元気な中年の足での時間です。
天端は歩きやすそうな平坦な砂利道ですが、チェーンが切れているとは言え、立ち入り禁止の看板もあるので、写真だけ撮影させていただき、すぐに戻りました。北側の舗装路を歩くと、県道に出るトンネルがあります。2020年7月時点では、県道側のトンネル口に立ち入り禁止のチェーンが張ってありました。
裏銀座と船窪登山の登山口、七倉駐車場
一般車が立入れる高瀬川の最上流の地が、七倉駐車場です。この先の県道326号線一般車規制所から先は、工事車両か特定タクシーしか入ることができません。山好きには言わずと知れた裏銀座の玄関口であり、ランプの宿・船窪小屋への起点でもあります。
登山の時は、時間短縮と体力の温存のために特定タクシーを利用しますが、今日は高瀬ダム自体を撮影することが目的なので徒歩で行きます。
写真は、2020年07月19日の七倉駐車場。大町市街地方面に向いています。80台収容の駐車場がこの程度の混雑。奥に見えるトラックは工事車両なので、登山者はまばらです。七倉山荘スタッフさんの話では、コロナ自粛で皆さん相当に慎重になっているとのこと。今年は我慢のシーズンになりそうとのこと。
この先、許可車両のみ! 七倉ゲート
監視員の詰所と紅白のバーが県道326号線一般車規制所です。意識したことはなかったですが、これが正式な名称のようです。東京電力および工事関係者または特定タクシーのみが先に進めます。実は、漁協の組合員も通行可能です。魚の放流も定期的に行われているので、釣れるそうです。釣りをする場合には遊漁券が必要になります。七倉山荘でも販売しています。
ゲートの右奥に七倉登山案内所があります。登山届けをここのポストに入れて出発しましょう。隣には立派なコンクリート造りの公衆トイレがあります。トイレはしっかり済ませておきましょう。
七倉岳登山口
七倉ゲートの先の橋を渡るとすぐにトンネルに入ります。そのほんの先に右側に開いた出口があり、そこが船窪小屋へ向かう七倉岳登山口です。写真を回転させて、ゲートとの距離感などを確認してみてください。
高瀬ダムへはトンネルを直進します。今日は日曜日なので、ダンプの通行がありません。高瀬ダムまで歩行する場合、ダンプの通行を忘れては行けません。1時間毎に6台のコンボイが6隊に別れて往復します。トンネルや落石覆いの連続する狭い道路なので、ダンプ通過時に歩行することは大変危険です。
特段の事情がなければ、特定タクシーの利用をおすすめします。相乗りすれば費用も抑えられます。
東京電力 新高瀬川発電所 入口
上流の高瀬ダムと下流の七倉ダムの間で揚水式発電を行うのが東京電力新高瀬川発電所です。写真の橋の先のトンネルの奥にあります。かつては、高瀬川TEPCO館から見学ツアーのバスが出ていて、気軽に内部をみることができました。東日本大地震以降、高瀬川TEPCO館は閉鎖となり、ツアーも中止となりました。高瀬ダム見学とセットの無料ツアーは、人気だっただけに無くなったことは惜しまれます。
山ノ神トンネルを抜けると高瀬ダム
竹村新道の起点となる真砂岳分岐は、野口五郎岳山頂(2,924m)を水晶岳方面に約1キロ、62mほど下った場所にあります。ハイマツの陰に隠れるように道標が立てられています。裏銀座登山道が気持ち良く真っすぐに続いているのですが、今回はここから湯俣へと向かいます。
上のパノラマを全画面に拡大して、裏銀座の雄大な景色をお楽しみください。西に東沢乗越を経て水晶岳へと向かう登山道。そこから北に赤牛岳、立山連峰、南に向かうとワリモ岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳、樅沢岳と続いて、真南の槍ヶ岳まで、錚々たる山の景色が楽しめます。
登山したのが2019年のお盆休みでしたが、竹村新道入口の砂礫地にはコマクサが可憐に咲き誇っていました。人が歩けば簡単に崩れてしまうような砂地の上で咲く姿は、本当に脆弱な感じで、足を置く場所を慎重に見極めながらの通行です。
高瀬ダムの基部へ
歩きでなければ立ち寄れない場所を押さえておこうと高瀬ダムの石積みの一番下まで行ってきました。高さ176メートル、堤頂長362m、約8万個の巨岩を積み上げた堤体の迫力を感じるには見上げるのが一番。この迫力、どうですか? 全画面表示にして、視点を回してお楽しみください。
高瀬ダム、堤体への取付き道路より
徒歩の強みは、いいアングルだと思えば、すぐに撮影に入れるところ。高瀬ダムを右斜め下から全体を収める。ダムの左手の奥には、唐沢岳(2632m)が屹立する。その胸元にある一面の岩肌が幕岩だと思われる。ここを登る人がいるというのが驚き。
2019年に唐沢岳の山頂下から高瀬ダムを眺めたのを思い出す。山頂からだとダムが見えないので、少し西に下ったら、ダムのジグザグ道路がはっきり見えた。ということは、この場所からも山頂が見えるはず。あの一番高い尖塔が恐らく唐沢山の山頂であろう。
高瀬ダム|第1カーブと第2カーブの間から
高瀬ダムの堤体につくられたジグザグ道路の一番下の中央付近で下流方向を撮影。右に視点を移すと、スキーのジャンプ台のような排水路が見える。5つのカーブを通過して、天端を目指す。
高瀬ダム、天端が間近に
上りの終点がようやく見えた。突き当たりまで行けば、そこが最上部。さらに直進すれば、湯俣へと続く遊歩道。天端をUターンすると、裏銀座登山道へと続くトンネルへ。
高瀬ダム|早朝の風景
このパノラマ写真は、2019年のお盆時期の早朝に撮影したもので、他の写真とは撮影日が異なります。天気が良く、湖水のエメラルドグリーンに透明感があるので、あえてここに掲載しました。この場所まで特定タクシーが入ります。
高瀬ダムの天端は、かなり広いです。この写真の反対側にあるダムの管理小屋の前に公衆電話があり、タクシーを呼ぶことができます。連絡のための小銭は必ず持っておきましょう。
濁沢の滝
今回どうしても近くで見たかったのが、この滝。ブナ立尾根から登山を始める時には、必ず目に入るのだけど、往路では先を急ぐために、復路では疲れ果てていて、わざわざ立ち寄る状況にならないのです。そこで今回、ここ自体を目的にした訳です。長雨のせいで水に濁りがありましたが、なかなかに秀麗な姿でありました。
濁沢の滝|大岩の上から
轟音を上げて流れ下る滝をもっと間近で撮影したくて、滝の手前の大岩にちょっと無理して登ってみた。飛沫が水流の起こす風で巻き上がり、シャワーのように降り注ぐ中でのパノラマ撮影でした。滝の右の岩がいくつも人の顔に見えて、ちょっと怖い。
流れの先、高瀬ダム調整湖
濁沢の滝が流れ下る先には、高瀬ダム調整湖。花崗岩が風化して崩れた白砂で一面が荒涼とした雰囲気。揚水式発電の貯水機能をもつので調整湖。
ブナ立登山口
仲間と登山に来る時には、じっくり撮影する時間が取れないので、登山口のパノラマ撮影ができずにいた。今回、チャンス到来とばかりに撮影を敢行。
心に余裕を持って眺めると、新たな発見も! なんと、登山口のすぐ裏に立派な水場がありました。今まで気づいていなかったなんて… 水場の写真は以下をご覧ください。
ブナ立登山口の水場
かなり上流からはっきり分かる沢が登山道のすぐ脇にありました。地図上であることは知っていたのですが、現地ではどこか分からないままでした。これを見落としていたとは、いかに登山道しか見てなかったかということですね。
濁沢の丸太橋
2020年07月19日に撮影した濁沢の橋のパノラマ写真です。二本の丸太の上に横板を打ち付けた構造になっています。上流側の丸太の左端が砂地から露出しているのが少し心配です。
高瀬ダム調整湖
高瀬ダム湖は、ダムの西側で湖に注ぐ不動沢と濁沢の二つの沢からの土砂流入が激しく、砂礫の堆積が進んでいます。湖畔一帯は、こんな感じの砂丘状態です。
毎年、砂地が広がっているのを実感できて、ちょっと怖い感じもします。36台の10トン大型ダンプが月曜から土曜まで1日7往復しても運び切れない膨大な量。新たにトンネルを作り、ベルトコンベアで搬出する計画があるらしい。